公売物件の評価

おはようございます。
不動産鑑定士の池田孝(いけだたかし)です。

先日、ご縁をいただき不動産公売物件の評価をすることになりました。評価に当たり改めて勉強したことを皆様にお伝えします。

そもそも不動産公売って何だと思いますか?
不動産競売の方がご存知の方が多いかも知れませんが、まぁ、大枠は同じような制度といえますが、大きな違いとしては、下記の通りではないでしょうか。

不動産競売:債権者が民間(借金の滞納等を理由)で管轄(取り扱い)は裁判所
不動産公売:債権者が官公庁(税金等の滞納等を理由)で管轄(取り扱い)は国・地方自治体

こんな感じですかね。

何れも、債務者の財産権を過度に侵害しないように、最低売却価格(言葉は違いますが)のようなものを設定しています。

我々、不動産鑑定士が競売物件の場合には評価人として、公売物件の場合には不動産鑑定士として評価に当たります。

評価の方法としては、まず一般的な市場(合理的な市場)で取引される時価を査定して、当該時価に競売や公売において競売不動産、公売不動産特有の価格形成要因を反映した減価率(競売市場修正率、公売特殊性減価)を乗じて評価額を査定します。概ね▲30%前後が多いのではないでしょうか(地域や市場動向、需要者動向により相違します)。

この▲30%の理由としては次の通りです。

【不動産競売の場合】
・売主の協力が得られにくい。
・物件内部の内覧がしにくい(内覧制度による物件確認しか方法がない)。
・引渡しを受けるために法定手続を要する。
・瑕疵担保責任がない。
・競売物件特有の心理的抵抗がある。
・資金面で融通がつきにくい(入札には保証金が必要、残代金も期日までに即納)。

【公売不動産の場合(第98条関係 見積価額の決定|国税徴収基本通達主要項目より抜粋)】
・公売財産は、滞納処分のために強制的に売却されるため、いわば因縁付財産であり、買受希望者にとって心理的な抵抗感があること。
・公売財産の買受人は、瑕疵担保責任(民法第570条)を追及することができず、また、原則として買受け後の解約、返品、取替えをすることができない上、その財産の品質、機能等について買受け後の保証がなく、税務署長は公売した不動産について引渡義務を負わないほか、公売手続に違法があった場合は一方的に売却決定が取り消されること。
・公売の日時及び場所等の条件が一方的に決定され、買受希望者は原則として建物についてその内部を事前に確認することができないなど公売財産に関する情報は限定され、公売の開始から買受代金の納付に至るまでの買受手続が通常の売買に比べて煩雑であり、また、買受代金は、その全額を短期間に納付する必要があること。

これらを考慮して我々が査定した評価額を参考にして競売不動産、公売不動産の最低売却価格が決定されているのです。

不動産の売却、評価、相続等お悩みごとがございましたら、まずはご連絡ください。

池田不動産鑑定株式会社
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