最有効使用って何だろう?(続き)

みなさん、こんにちは。不動産鑑定士の池田孝(いけだたかし)です。

前回、最有効使用という言葉の考え方についてお話ししました。今回はそれに関連したお話をしたいと思います。

その前に「最有効使用」のおさらいです。

【最有効使用の原則】

不動産の価格は、その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用(以下「最有効使用」という。)を前提として把握される価格を標準として形成される。この場合の最有効使用は、現実の社会経済情勢の下で客観的にみて、良識と通常の使用能力を持つ人による合理的かつ合法的な最高最善の使用方法に基づくものである。

なお、ある不動産についての現実の使用方法は、必ずしも最有効使用に基づいているものではなく、不合理な又は個人的な事情による使用方法のために、当該不動産が十分な効用を発揮していない場合があることに留意すべきである。

以上が定義(鑑定評価基準に記載)です。

 

そして、

不動産の価格 = 最有効使用を前提とした価格 +(異なる使用方法による増減価)

とお話ししました。

 

少し前に手掛けた案件ですが、こんなのがありました。

【ケース】

土地改良された農地が広がる市街化調整区域内の資材置き場でした。公簿地目は畑、現況地目は資材置き場なので雑種地です。資材置場としてのニーズはわずかながらですが、認められる地域でした。

 

私の行った評価の概要は以下の通りです。

その不動産の畑としての価格 - 畑への復元費用 = 対象不動産の価格

結果、極めてゼロに近い評価でした。

雑種地として評価すれば良いのにと思った方もいらっしゃったかもしれません。確かに農地よりも雑種地として賃貸に供したり売却をしたほうが、有効需要も見出しやすいのです。私も現地調査をした段階ではそのように思いました。しかし、役所調査等を進めていくうちに、対象不動産が農業振興地域内の農用地と判明したのです。もちろん、登記上も農地転用をしていなかったので問題ありですが、農用地となると基本的に農地利用以外に利用することが極めて難しい土地なのです。しかも、農地利用以外の利用をする場合には除外申請を行う必要があったのです。もちろん、行っていません。

対象不動産の現状は違法状態であり、最有効使用の原則にもある通り「合理的かつ合法的な最高最善の使用方法」ではなかったのです。

 

このように、最有効使用の判定はただ金額が高ければ良いというわけではないのです。

 

 

 

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