みなさん、こんにちは。
不動産鑑定士の池田孝(いけだたかし)です。
前回に続き、道路シリーズです。
今回は具体的にどのように調査するかを考えてみましょう。調査の方法については基本的事項についてはどの評価(調査)機関も大差は無いと思いますが、調査の順序、調査の濃淡については評価機関によっても違うでしょうし、お客様から求められるレベルによっても異なることがあると思います。これは当社で行っている手順ですので、その点については予めご承知おき下さい。
当社の場合、まず不動産の評価(調査)をご依頼された場合、対象となる不動産の全部事項証明書、公図、地積測量図、建物図面等の法務局備え付けの書類を取得します。そして、公図等を確認し、対象不動産が面している道路部分に地番が付されているか否かの確認を行います(道路ではありませんが、隣接地の所有者も確認します)。
道路部分に地番が付されている場合には当該地番の全部事項証明書を取得して所有者等を調べます。
ここで、みなさんに質問です。公図には何で地番が付されていない土地があるのでしょうか?地番が付されていないということは、全部事項証明書も存在しないことになります。
それは、公図がつくられた時代に、その目的が地租の徴収だったため、課税対象である私人の所有物(私有地)を把握する必要がありました。したがって、官が所有していた土地、例えば道路や水路には地番が付されなかったのです。
最近は法務局でも電子化が推進され、多くの法務局備え付けの書類がインターネットサービスにより取得が可能となりました。しかしながら、私が鑑定業務に従事し始めた頃は公図の閲覧申請をして、マイラーと呼ばれるポリエステルフィルムを確認し、必要な場所をコピーしていました。その際に赤色や青色の細い筆が無番地として存在していました。
みなさん、もうおわかりですよね。
それが、道路や水路を表していたのです。
①赤線が里道等の道で現在は「道」と表示されています。
②青線が水路や河川で現在は「水」と表示されています。
少し横道にそれましたので、話を元に戻します。
対象不動産の前面道路に地番が付され、その所有者が国や地方公共団体であれば、現況の状況を鑑みてこれは多分道路法の道路かなと当たりをつけてその後の調査の準備をします。
逆にその所有者が私人であれば、現況の状況を鑑みて、位置指定道路の可能性や建築基準法42条1項3号道路、建築基準法42条2項道路、それ以外の可能性が考えられ、調査に手間がかかりそうだと覚悟を決めて準備をします。以前お話ししたケースのように、私人の所有物でありながらも、区管理道路(区道に準ずる道路)のケースもあり慎重な調査を要します。
たまに、現地に先に行きますか?役所等の調査の後に行きますか?と聴かれるのですが、それは与えられた時間や費用、処理計画によって異なりますが、出来れば現地に先に行くことをおすすめします。ただ、この場合には2度手間になる事もあるので、その点は覚悟してください。その理由は、書類を提示して役所の方とお話しするのですが、現地はどのようになっていますか?現地の状況がわからないとお答えできませんとたまに言われることがあるからです。
ただ、最近は役所に先に行き、その後現地に行くケースも増えてきましたね。その辺は臨機応変に対応して頂けると良いのではないでしょうか?
少し長くなってきたので、今回はこの程度にしておきます。
次回は役所調査について書こうかなぁと思っています。
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池田不動産鑑定株式会社
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